HFの感想

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  • ネタバレを含んでいる
  • セイバールートと凛ルートはアニメで見た ** セイバールートはRealta Nuaでも見た
  • ライト勢

 重いしすっきりしないがとても面白かった。苦労した分、ひどい目にあった分、努力した分、キャラクター達には文句のつけようがない形で幸せになってほしかったのだけど、どうもそういうコンセプトではないらしいので、そこにとやかく言うのは違うと思う。
 1部、2部に比べて起きることが少ない分、丁寧に書かれていたのかなぁなんて思った。 逆から言えば今回の3部で起きることは1部と2部を前提として進むので、感動が薄れてしまう部分もあったのかなぁとも思った。やはり時間が空いてしまっているので一部記憶から抜け落ちたりしてしまっている。ここは想定して見直しておけばよかったのかもしれない。

 ここから先はネタバレを含む?
 面白いところはたくさんあったけれどなるべく最後のところだけに焦点を絞る。
 他2つのルートと違って今回のルートは不穏だ。減っていく聖杯戦争の競争相手と仲間、無力でただ見つめるしかない主人公、事態は悪化し続けていく。他のルート2つでは徐々に仲間が増えて、対策を練って、いろんな困難をみんなと乗り越えていく。絶体絶命を何とかする方法が存在していて、強力な相手に対抗できる新しい魔術的な要素が出てきたりする。
 それに比べて、このルートに大逆転はない。できることが減っていく。最後の最後で行使された奇跡でさえも、大きな犠牲を支払ってもなお、かろうじて最悪を回避したくらいでハッピーエンドにはならない。
 聖杯戦争終結した。けれど、残った傷も背負った罪もどうしたらいいかわからない。それがなくならないことを受け入れて、それを幸福を手放す理由にはしないで、むしろ今享受している幸福が如何に尊く儚く貴重であるかを知って、それを他者から奪ったことがどれほど罪深いかを痛感する。そういうことなんだろうか。最後のお墓参りも、最初自分は士郎のものなのかと思っていたが、もしかすると顔も知らない犠牲者の墓かもしれない(魂を回収できたのだからそうなのかな)。 結局、罪や罰や許しについてははっきりとはしていなくて、これは私たちの住んでいる世界と同じだと思う。ある罪に当てはまる行動をしてしまったから既定の罰を受けて許される、というような機械的なものではないだろうから。
 映画では主人公たちサイドからの視点しか見れていないからわからないが、聖杯戦争終結した後の冬木はどうなってしまったのだろう。魔術協会が事態の収拾を行うらしいのは知っているが、犠牲者はそもそも初めからいなかった、なんてことにはきっとならないんじゃないかと思っている。だから、行方不明にしてもガス爆発に偽装したにしても、多くの人がいなくなってしまった人の帰りを待ち、死んだ理由や責任の所在を明らかにしようとするだろう。そんな街で、彼らは生きていくというのも、とても重い。。。